BRAND DESIGN | 『 THE LETTER 』についてお話します
Written by TAN
/ Architect, Creative Director, CEO
September 26, 2020
建築家の山之内淡です。
執筆した記事に対して熱い感想やメッセージをいただくことも増えてきました。
日々の励みになりますし、本当にありがたいです…。
今回は、『 THE LETTER 』について、どのような位置付けの企画なのか、背景にある思いや、今後の展開についてなど、裏側の部分をお話していきたいと思っています。
『 THE LETTER 』は、Mr. & Ms. Cat の創業者3名による連載記事で、3名それぞれの得意分野・立ち位置から執筆しています。
Mr. & Ms. Cat のメイキングともいえる内容の ”BRAND STORY”、建築やデザインやアート分野などクリエイションに関する内容の ”BRAND DESIGN”、時事ニュースや経済ニュースなどを扱った内容の “BRAND VIEW” からなっています。
三者三様、それぞれ異なる味つけの記事としているのには、理由があります。
ひと口に “愛猫家” といっても、皆さんそれぞれに趣味趣向は異なると思います。ひと目見て「読みたいと思う記事」や、実際に読んでみて「ためになったと感じる内容」も、人によって幅があるのは当然です。
少し専門的な表現をすると…現代という時代は、個々人の趣味趣向が多岐に渡り細分化しているといわれます。
そのため、従来の年齢・性別・職業などを用いた属性区分である “セグメンテーション” や “ターゲティング” は上手く機能しないといわれています。
別の言い方をすると、現代という時代は、年齢・性別・職業ではなく、“好み” によって集団(クラスター)形成がされている、といえます。
マーケティングの言葉では、これを “ソーシャル・グラフ” と呼びます。興味のある方は調べてみてください。
そのような時代背景を基に、『 THE LETTER 』では、Mr. & Ms. Cat が大切にする「世界観や思想・哲学の部分はすべての記事に共通」としつつ、扱う分野・声のトーン・テーマを掘り下げる深さなどについては、「敢えてバラつきを持たせる」かたちにしています。
例えば、ご夫婦やカップル、愛猫家のご友人間で読まれる際にも、1人はよりデザインに興味があり、もう1人はビジネス寄りの内容に関心があるなど、よくある場面ですよね。
興味関心を持つ分野に少しずつバラつきがある場合であっても、「『 THE LETTER 』をご家族やご友人同士で一緒に読む」という共通体験をしていただけるよう、『 THE LETTER 』は意識してデザインしています。
自分自身にもいえることですが…近しい人が好きなことには興味を持ちやすいものですよね。
自分も結婚するまでは、本以外はほとんど何も持たないミニマリストで、仕事柄、食器や生活雑貨についての知識はあったものの、あまり興味がありませんでした。
結婚をして、奥さんが食器や生活雑貨に詳しく、いろいろと話を聞いたり、実際に購入して使っているうちに興味が出てきて、今では食器などについても人一倍詳しくなっています。笑
もちろん、そうして広がった知見は、仕事にも活きています。
そのように、『 THE LETTER 』には、「複数の興味の入口」と「散策し迷子になれるだけの豊富な脇道」を用意してあります。
ぜひ「『 THE LETTER 』をご家族やご友人同士で一緒に読む」共通体験をしてみていただければと思います。
最後に、宮崎駿監督が、先日の ”漫画版 風の谷のナウシカ” の記事でもご紹介した "風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡" のなかで、とても興味深いことを話っていますので、引用して記事を締めたいと思います。
「エンターテインメントっていうのはなにかって言ったら、間口が広いことですよ。敷居が低くて、誰でも入れるんですよ、入ろうと思えば」
「ディズニーの作品で一番嫌なのは、僕は入口と出口が同じだと思うんですよね。(中略)入口と同じように出口も敷居が低くて、同じように間口が広いんですよ」
「なんかこう……入口の間口が広くて、敷居も低いんだけど、入っていったらちょっと高くなってたっていう。そういうふうなのが理想だと思うんです」
入口は広いけれども、知らずの知らずのうちに階段を上っている、それが良質なエンターテインメントである、という趣旨の話だと思いますが、まさに『 THE LETTER 』の目指す姿そのものだなあ…と思います。
今後は、愛猫プロダクトのセレクトショップ『 THE SELECTION 』の商品ストーリーのご紹介や、気になる方をお招きしての対談記事など、幅を広げていく予定です。
『 THE LETTER 』のみ切り離しても、ひとつのメディアとして成立するレベルのクオリティに育てていこうと思いますので、引き続き、楽しんでいただければ幸いです!
次回は、「人間以外の時間について考えること」をテーマに、「猫の時間」と「人間の時間」と「建築の時間」の3つの時間について、お話していきたいと思っています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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