BRAND VIEW | Power of Womenomics

Written by YUKI

/ CFO

 

December 1, 2020

 

 

皆さん、こんにちは。

 

最近は新型コロナウィルスのワクチンの開発ニュースが巷を賑わせていますね。

ワクチン開発にまつわるポジティブなニュースが出るたびに株式市場は賑わい、対照的に世界的な感染者の増加に伴い再びロックダウンに突入する国が増加するなど、人の営みの難しさと割り切れなさを覚える今日この頃です。

 

さて、そんな状況の中ですが、今週はもう一つ別のニュースが日本を賑わせました。

自民党が「児童手当の減額、廃止」を検討していると言うニュースです。

https://www.asahi.com/articles/ASNCT6HKTNCTUTFL009.html

 

人口の少子高齢化に苦しみ、女性の社会進出と子育てをしやすい社会の実現を進めなければならないはずの日本で、子育て支援の手当てを減額するという大きな矛盾を孕んだ今回の政策は大きな批判を呼び、ある調査ではアンケートに回答した母親の実に8割が反対を唱えているとのことです。

 

今回はこの話題に関連して、いま日本の女性の社会進出がなぜ重要と考えられているのか、改めて少し解説を試みたいと思います。

 

皆さんは、ウーマノミクス (Womenomics) という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

これはGoldman Sachs日本支社の副会長であり、世界的にも著名なエコノミストであるキャシー松井氏が今から約20年前に提唱した理論で、女性の社会進出のあり方や、経済成長への貢献をメカニズムとして表したものです。

 

2055年までに労働人口が現在より40%も減少することが見込まれる日本において、いかに労働人口を維持するかというのは最も大きい社会問題の一つであり、女性の社会進出はそこに大きく寄与すると考えられています。

 

試算によると、女性の就労率が男性並みに上昇し、現状のパートタイム中心の労働が正規労働に切り替わることで、日本のGDP15%も上昇するそうです。

また、移民が少なく多様性に乏しい日本の労働環境において、ジェンダーの多様化が進むことはイノベーションの創出にも寄与すると考えられています。

 

また、女性の就労率が上昇すればより少子化が進むのではないか、という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、実際のところ、先進国においては女性の就労率が高い国ほど世帯当たりの子供の数も多くなるという相関関係が示されています。

 

2013年に発足した安倍内閣はこの理論に基づき、女性の社会進出を経済施策の中心に据え、その推進のための施策として「待機児童問題の改善」「労働市場におけるジェンダーギャップの透明化」などを推し進めてきました。

 

現状として、未だ十分とはいえないものの、少しずつ一定の成果が見え始めています。

例えば、当時56%だった女性の労働参加率は71%まで向上し、これは既に欧米先進国の数字を上回っています。

 

しかし残念ながら、未だ第一子の出産を契機に正規労働からパートタイムへと切り替える女性の割合は高く、女性の平均賃金は大きく男性を下回っているのが実情です。

 

また、その他にも、制度の存在にも関わらず男性の育休取得率が一向に上昇しないこと、国会において女性議員が占める割合は日本がOECD諸国の中で最下位に沈んでいることなど、未だ課題は山積しています。

 

この問題は決して一つの要因が生んだものではなく、社会的な女性の役割に対する認識不足や誤解、制度上の問題、教育上の問題など、様々な要因が複合的に絡み合って形成されてきました。

 

少子化に喘ぐ日本が更に子育て世帯への支援を縮小することが愚策であることは言うまでもありませんが、政策のあり方だけではなく、ぜひこの機会に私たち皆がそれぞれの企業のあり方、各ご家庭のあり方などを考え、話し合う機会になれば良いなと願い、この記事を書きました。

 

ぜひ上司や後輩、パートナーやお子さんなど、色々な方と意見交換をするきっかけになれば幸いです。

 

最後に、キャシー松井氏が日本の銀行でインターンをされたときの体験談を添えて、本記事を締め括りたいと思います。これはご本人の英語のインタビューを私が和訳したものですが、英語に問題がない方はぜひ記事下のリンクより直接インタビューを聞いてみてください。

 

「私はGoldman Sachsに入る前、最初に日本の銀行でインターンをしました。そこでは典型的な銀行のユニフォームを着せられ、ずっと席に座り、ランチの時には男性は男性だけで固まってランチに出かけ、女性は女性だけで出かけるのを目にしました。大きく分断が進んでいて、非常に保守的で、私はすぐに『ここは私が満足のいくキャリアを築ける場所だろうか?』と疑問を持ちました。答えは明らかにNoでした。」

 

https://www.goldmansachs.com/insights/pages/womenomics-5.0/

 

それでは!

 

 

 

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